2018年11月09日

Advantage2 日本語配列モデル の開発 その3

当社エジクン技研と米国キネシス(Kinesis)社が協力しておこなったAdvantage2キーボード日本語配列モデルの開発について、続きを書きます。今回が最後になります。

下の写真は一部キーのアップです。小さくてわかりにくいですが、左上に[半角/全角]キー、親指で押すところに[変換]キーや[無変換]キーが配置されています。なお、写真をクリック(タップ)すると大きく表示できます。

left-thumb.jpg

◇◇◇◇◇ 2016年 ◇◇◇◇◇
2月23日
今まで議論して仕様を決めた新しいファームウェアが届きました。
前年の11月20日に届いたAdvantage2日本語配列版のサンプルは、ブートローダを備えています。このサンプルを新しいファームウェアに書き換え、テスト開始です。Advantageの複雑な仕組みには別の社員が精通しているので、その社員がしっかりテストしてくれます。
また、日本語配列モデルを含むAdvantage2全般のファームウェア更新について、Willから説明を受けました。いろいろ使いやすくなっているようです。

3月10日
ファームウェアのバグ3つをWillに報告しました。2つはDvorak配列に関するものでした。残りの1つは、Macモードにおける円マークに関するものだったので、当社が解決してみると言いました。

4月4日
Willに報告したバグのうち、Macモードにおける円マークに関するバグを、当社の側で解決しました。原因は、class specific descriptor の LOGICAL_MAXIMUM と USAGE_MAXIMUM の書き間違いでした。
Windowsは0xffを十進数の255と解釈してくれますが、Macは最上位ビットが1なのでマイナスと解釈してしまうようです。

8月30日
更新されたファームウェアがやっと届きました。私が指摘したバグだけでなく、いろいろなバグを修正していたそうです。

9月13日
新しいファームウェアを入れてみたら、前よりもずっとバグが多くなっていて、まいりました。2月23日のファームウェアをベースに更新してほしいと伝えました。

◇◇◇◇◇ 2017年 ◇◇◇◇◇
3月14日
Kinesis社は他の製品の開発に追われ、Advantage2日本語配列モデルの開発はずっと止まっていましたが、少し動き出しました。

3月24日
日常的にAdvantegeキーボードを使っている人が当社にいるか、Willに聞かれました。確かに、Advantegeの機能を理解しているだけではなく、日常的なAdvantegeユーザーでないと、最適なキー配置は考えられないでしょう。
当社には、Advantageの詳細を深く理解している社員がおり、お客様からAdvantageの設定方法などについて聞かれたときは適切に対応することができます。この社員はAdvantegeキーボードをときどき使っているだけでしたが、常に使ってもらうことにしました。

4月28日
Willからキー配置についての提案が届き、当社からも考えを伝え、また議論が始まりました。内容は、円マークの配置や、日本人は「〜」をよく使うから押しやすい位置に配置する必要がある、などです。

6月9日
Willが、Dvorak配列を少し変更するのを提案してきました。Dvorak配列は米国版と全く同じでよいと言ったのになあ、と思いつつ、別の社員と再検討しました。そして、Willのアイデアの方がよいと気付きました。やはり、何十年もAdvantageのことを考えている人は違うなあと感心しました。

下の図は、Advantage2日本語配列モデルをDvorak配列に設定したときに、各キーから出力されるものを示しています。実際のキーの印字とは異なるので御注意ください。各キーの右側に表示されているもの(Shiftキーといっしょなら大文字または右上に表示されているもの)が出力されます。表示が左右に分かれていない場合は左側または全体に表示されているものが出力されます。日本語入力にうまく適合したDvorak配列になっていると自負しています。なお、図をクリック(タップ)すると大きく表示できます。

Dvorak.jpg
7月7日
キー配置についてWillが最終案を送ってきて、当社が間違いを1つだけ直しました。これで、やっと最終合意にこぎ着けました。

7月21日
Willが、手元にある一般的な日本語キーボードを見ると、変換キーが右にあって無変換キーが左にあると言ってきました。これと同じで、Advantage2日本語配列タイプでも、変換キーは右に配置した方がいいのでは、とのこと。
これには、日本人はスペースキーでひらがなを漢字に変換する、Advantage2ではスペースキーが右手でしか押せないので、変換キーを左に配置した、と説明しました。これにはすぐに納得してくれました。

7月27日
更新されたファームウェアが届きました。
しかし、バグがたくさん見つかり、報告しました。

8月4日
Willが、レスキューコマンドについて教えてくれました。Advantage2に生じた問題を、強力に解決する手段のようです。

9月9日
また更新されたファームウェアが届きました。7月27日に報告したバグを修正し、マウスボタンなどを割り当てる機能が追加された、とのこと。

10月14日
Macモードにおける数字8のキーのキーパッドレイヤの出力について、2016年2月15日に、私が主張するとおりと合意していたのですが、Willが主張するとおりに変更しました。Willのこだわりはかなり大きいな、と思ったからです。

11月22日
キー配置の図が送られてきましたが、いくつか間違っていたので、修正を頼みました。また、日本語特有のキーの印字がずれていたので、これも修正を頼みました。

12月4日
日本語キーキャップの生産が、米国配列タイプなどのキーキャップと同時に始まることになりました。日本語配列タイプは生産数が少ないので、いっしょに生産したいとのこと。

◇◇◇◇◇ 2018年 ◇◇◇◇◇
1月30日
更新されたファームウェアが届きました。

2月7日
日本語配列タイプキーボード、型番KB600-LF-JPが届きました。社内でテストを始めました。
また、日本語配列タイプのキーキャップも届きました。これまで米国配列タイプを買ってくれた方に、このキーキャップとファームウェアを送り、日本語配列タイプのモニタをやっていただくためです。

2月14日
Advantage2日本語配列タイプのモニタを募集し、応募された方に日本語配列タイプのファームウェアとキーキャップを送りました。たくさんの方から応募があり、追加募集をおこないました。

モニタの方々からのアンケートが集まった後、集計しました。幸い、バグの報告はありませんでした。

4月16日
アンケートの回答の中に、Home、End、PageUp、PageDown の4つのキーが使いにくいという意見がありました。集計結果をWillに送ったところ、この意見が気になったようです。
確かに、これらのキーはキーパッドレイヤに入っているので、アクセスが面倒です。当社としては、これら4つのキーのうち2つぐらいは、あまり使わないキーの位置にリマップできるから問題ないだろうと考えていました。
Willは、アドバンテージ専用フットスイッチのシングルをセットにしたらどうか、と言ってきました。フットスイッチを足で踏みさえすれば、簡単に上記4つのキーにアクセスできるわけです。このアドバイスに従い、セット商品も販売することにしました。

以上で、Advantage2日本語配列モデルの開発ストーリーは終わりです。当社としては、Advantage2キーボードが持つ優れた特性を、日本語入力に存分に活かした最高の作品に仕上がった、と自負しています。
皆様、Advantage2日本語配列モデルをよろしくお願いいたします。
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2018年11月08日

Advantage2 日本語配列モデル の開発 その2

当社エジクン技研と米国キネシス(Kinesis)社が協力しておこなったAdvantage2キーボード日本語配列モデルの開発について、続きを書きます。

下の図がキー全体の配置です。赤で示したキーが米国配列モデルと異なります。日本語配列キーボードの方がキーの数がだいぶ多いので、それをいかに押し込むか、日本とアメリカで頭を悩ませました。なお、写真をクリック(タップ)すると大きく表示できます。

KeyArrangement.jpg

◇◇◇◇◇ 2015年 ◇◇◇◇◇
5月23日
Willから技術的な問題が発生したとの連絡が来ました。試作機から日本語特有のキー([変換]キーや円マークなど)が出力できていないそうで、何が問題なのかプログラマーと話し合うそうです。

6月17日
Kinesis社の開発チームが、USBのアナライザを買って信号を確かめたところ、試作機から信号はきちんと出力されているそうです。しかし、モニタに日本語の文字は表示されないとのこと。米国Amazonで買った日本語キーボードを使えばきちんと表示されるそうです。
そして、キーボードをUSBに挿したときの設定がうまくいっていないようなので、アドバイスがほしいと言われました。

6月18日
米国キーボードの場合、Usage ID は101(それゆえ101キーボードと呼ばれる)までだが、日本語特有のキーのUsage ID は101より大きい、と私から伝えました。
そして、class-specific descriptor にある LOGICAL_MAXIMUM と USAGE_MAXIMUM を101から255(16進数でFF)に変更したらどうか、と言いました。

6月19日
プログラマが忙しいので、上記の問題の解決には時間がかかるそうです。
変換キーなどは機能しないけれども、日本語を入力することはできるようになったそうなので、スペースキーが変換キーと同じ機能を果たすと伝えました。

6月20日
その後、スペースキーで変換できたそうで、日本語を入力する方法がだんだんわかってきたと言ってきました。そして、この方法は非常に複雑であり、日本語をタイプすることによってコミュニケーションでき、コミュニケーションしなければならない人々を尊敬すると言われました。
確かに、英語の場合は、打ったキーがそのまま表示されるだけですから、日本語入力に比べてはるかに簡単ですよね。
コンピュータで日本語を使っていると、この非常に複雑な方法に余計なエネルギを使ってしまうので、英語を使うよりだいぶ不利だと感じています。

7月3日
私が6月18日に指摘した部分を書き換えたらうまく動作したと、Willから返事が来ました。すごく喜んでいるのが伝わってきたので、私もとても嬉しかった。

私は、米国Microchip社のマイコンを使ってフットスイッチなどの開発をしてきました。マイコンメーカーが作るサンプルプログラムは、アルファベットと数字しか出力できなかったりします。そのサンプルプログラムから日本語キーボードを作るとき、指摘した部分を先ず書き換えます。
従って、私のような日本人開発者には半ば当たり前のことなのですが、アルファベットしか知らない開発者は気付きにくいでしょうね。

11月20日
Advantage2日本語配列版のサンプルがやっと届きました。だいぶ時間がたったのは、ブートローダーやいろいろな機能の開発に手間取っていたためだそうです。ブートローダーによってファームウェアを書き換えることができます。

12月8日
日本語配列モデルのサンプルをさわりながら、ベストなキー配置についてまた議論が始まりました。米国版の仕様が固まってしまうと日本語配列モデルの修正がやりにくいと考えたので、米国版のスケジュールを聞いておきました。

12月31日
開発が長期に渡り、当社はサンプル(試作機)が完成するまで待たされる日数が多かったので、Willと私が何を議論してきたか半分忘れてしまいました。それで、年末の休みを利用して過去のメールをじっくり読んで思い出し、Willから来ていた多くの質問に対してメールで答えました。
その後、年始にかけて、いくつかの設定ミスやDvorak配列についてWillと細かい議論をしました。

◇◇◇◇◇ 2016年 ◇◇◇◇◇
1月8日
当社からDvorak配列のAdvantageキーボードもそこそこ売れていたので、日本語配列モデルでもDvorak配列は必要だろうと思っていました。そして、いろいろ考え、Willとたくさんのメールを交わしました。
QwertyからDvorakへの変更がアルファベット26文字の範囲にとどまるなら話は簡単明瞭、日本語配列モデルにおいてもアルファベットの位置だけを同じように変えればよい、ということになります。
しかし、Dvorak配列では記号の位置も変わります。2年半も前のことなので細かいことは忘れてしまいましたが、Dvorak配列の日本語版を考えることは、QwertyでもDvorakでもない新しい配列を創作することに等しいと感じました。そして、それはとてつもなく難しい作業であろうし、もし創作できたとしても、今までDvorak配列を使っていた方々が納得し同意してくれるとは思えませんでした。
そこで、たくさんのメールをやり取りしていっしょに考えてきたWillにわびて、Dvorak配列に変更する機能は設けるが、Dvorak配列は米国版と全く同じにすることにしました。

1月19日
この数日間、数字8のキーのキーパッドレイヤ(Keypad Layer / embedded layer)で何を出力すべきか、Willと議論しました。
また、Macユーザーは米国版を買った方がよいとWillに言いました。シフトキーと数字キーを押したときに出力される記号が異なってしまう問題が生じないので。
Macはキーボードを接続したときに、それが日本語配列なのか米国配列なのか聞いてきます。米国配列キーボードを選べば、記号が異なる問題は生じません。
よってMacユーザーには米国配列キーボードを勧めます。円マークは、米国配列でも日本語配列でも、Option+Yで出力することができます。

余談ですが、Windowsに接続するキーボードを日本語配列にするか米国配列にするか選択するのは、Windowsのインストール時におこなうか、レジストリを変更するか、になります。従って、キーボードの選択は容易ではありません。この点はMacの方が優れていますね。Microsoftには特別な理由や戦略があったのかもしれませんが。
皮肉な言い方ですが、Windowsのキーボード対応がこんなだから、日本語配列版を作る仕事が当社に回ってくるわけで、そういう意味ではMicrosoftに感謝すべきかもしれません。

1月29日
日本語配列モデルは、Macユーザーには勧めないことにしましたが、MacモードやDvorak配列オプションは日本語配列モデルにも設けることにしました。米国配列から日本語配列モデルへのファームウェアの変更は少ない方がよいし、日本語配列モデルだけの特別なファンクションキーを作りたくない、というのが理由です。
また、MacモードにおいてHomeキーとEndキーは Command + 矢印キー にすべきでは、と私から提案しましたが、現状どおりにするということで落ち着きました。

2月15日
Macモードにおいて数字8のキーのキーパッドレイヤで何を出力すべきか、Willとやっと合意することができました。
印字と出力の不一致が問題であり、Willは印字されていないキーからは出力がない方がよいと主張してきました。私は、印字されているキーから何も出力されないのは大きな問題だが、印字されていないキーから出力があるのは小さな問題だと言いました。
そして、一般的な日本語キーボードで、あるキーを押したときに出力される信号が、日本語配列タイプで同様の位置にあるキーを押したときに出力されるべきだ、と主張しました。
Willは納得してくれました。

今回はここまでです。次が最後になります。。。
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2018年11月07日

Advantage2 日本語配列モデル の開発 その1

当社エジクン技研と米国キネシス(Kinesis)社が協力しておこなったAdvantage2キーボード日本語配列モデルの開発について書きます。

下の写真が外観です。[半角/全角]キーや[変換]キーを備えています。日本語配列モデルに限ったことではありませんが、大きな特長は、キーが平面状ではなくお椀状に配置されていることと、親指で操作するキーが多いことです。なお、写真をクリック(タップ)すると大きく表示できます。
Advantage2-Japanese.jpg
◇◇◇◇◇ 2014年 ◇◇◇◇◇
4月10日
以前のAdvantageキーボードと一部のWindows7の間で生じていた相性問題(当ブログ9月12日の記事ご参照)を解決するため、PS/2-USB変換LSIを別のものに替えたらどうか、とWillに提案しました。WillはKinesis社の社長です。USB機能を有する新しいマイコンを使って、マイコンからUSB信号を出力するようにすればもっと良い、とも書きました。
すると、新しいマイコンを使って作り直している、と返事が来ました。

◇◇◇◇◇ 2015年 ◇◇◇◇◇
2月20日
このころ、台湾のキーボードメーカーと協力して日本語配列モデルを開発しました。そして、Kinesis社はAdvantageを作り直しているんだよなあ、と思い出し、Willに、この機会にAdvantageの日本語配列モデルを作ってほしいと言いました。
そしたら、けっこう乗り気で、どのように作ればよいか質問をたくさん受けました。

2008年のことですが、Kinesis社から輸入を始める前にSeattleにある同社を訪問したときに、開発中のAdvantageの日本語配列版を見せてくれました。開発は頓挫しているようでした。日本語キーボードが英語キーボードと違う点について教えてほしいと言うので、帰国した後、Willにレポートを送りました。ですから、日本語配列モデルは前々から開発したかったのでしょう。

Willから受けた質問には、日本語を印刷したいくつかのキーが必要になり、それらのキーを押すと、Usage ID 53、135〜139(キーに割り当てられたUSBの信号) が出力されなければならない、と答えました。
また、日本語キーボードは英語キーボードよりキーの数が多いので、それをどうやって配置するかも問題だと伝えました。つまり、重要でないキーをキーパッドレイヤー(Keypad Layer / embedded layer)に押し込まなければならないので、どのキーが重要であり、どのキーが重要でないか、検討して選択する必要があります。

2月22日
Kinesis社が開発しているAdvantage2キーボードについて、Willが詳細に説明してくれました。新しいマイコンに変更するので、多くの機能がスマートに搭載されるようです。これらの機能は、日本語配列版でも全く同様に搭載されることになります。

2月23日
Willから日本語特有のキーについて質問を受けました。ひらがなを打って漢字に変換するようなことは、アメリカ人には経験がないだろうし、必要もないはずなのに、色んなことを聞いてきました。やはりキーボードには並々ならぬ興味があるのですね。
2008年にKinesis社から輸入を始めたとき、私はシアトルにあるKinesis社を訪問し、Willに会っています。今はかなりの高齢のはずなので、その深い情熱に驚かされました。

2月26日
日本語キーボードのキーをどのようにAdvantage2に押し込むか、メールで議論が続きました。すべて英語のメールでやり取りするので、テキストで日本語は表示できません。キーに番号を付したキーボードの図を送り、番号で指定しながら説明しました。
Winモード、Macモード、PCモードをどうするか、親指キーに何を持ってくるか、検討が続きました。

3月5日
日本語を毎日入力している身として、一番いいと思うキー配置を提案するのですが、Willにもこだわりがあるようで、別の配置を提案してきます。私はAdvantage2のキー配置に込められた深い意味を知らないし、Willは日本語をどうやって入力するのか知らないので、互いに説明し合い、双方が納得できる妥協案を探っていくことになります。

3月19日
Advantage英語版はCherryの茶軸が標準になっています。台湾のキーボードメーカーから仕入れた情報をベースに、日本人は青軸か赤軸が好みだ、とWillに伝えましたところ、赤軸を標準にしてくれることになりました。

3月20日
Dvorakオプションをどうするか検討を始めました。私はDvorakを使ったことがないので、これはやっかいな問題です。
また、Kinesis社で開発が進んでいるAdvantage2キーボードのファンクションキーについて、Willが詳細に説明してくれました。

この後しばらく、どのキーが重要で、どのキーならキーパッドレイヤーに配置しても大丈夫か、議論が続くことになります。また、Dvorakについても検討と議論が続きました。

5月12日
ファームウェアがとりあえず完成し、Willは、米国版Windows7に Microsoft IME を入れたそうです。そして、ファームウェアを入れた試作機で日本語を入力できるか確かめたいので、やり方を教えてほしいと言ってきました。
そこで、キーの絵を示しながら、N I P P O N N と打ち込めば、You will find Japan in Hiragana characters. と説明しました。さらに、変換キーを押すと、Then you will find Japan in Kanji. と書きました。

しかし、キーボードからOSに信号が伝わっていないようだ、との返事が来ました。多分、USBのディスクリプタが間違っていると思うのですが、よくわかりません。
その後、アメリカのAmazonで日本語キーボードを買って使ってみる、とのメールがきました。

また、新しくAdvantage2キーボードに備わった v-drive の機能について、Willが詳細に説明してくれました。

5月18日
試作機で 「にっぽN」「ニッポN」と入力することができた、とメールが届きました。しかし、漢字に変換することはまだできないそうです。
とりあえず、Nを2回打てば「にっぽん」「ニッポン」になるよ、と返信しておきました。

長くなるので、続きは後ほど。。。
posted by Q at 14:50| Comment(0) | Kinesis

2018年09月12日

キネシス Advantage2

久しぶりの技術担当ブログです。米国キネシス(Kinesis)社のAdvantage2キーボードについて書きます。
Advantage2.jpg
最初のアドバンテージ(Advantage)キーボードには、USBではなくPS/2コネクタが付いていました。なぜかと言うと、当時のキーボードはPS/2で接続するのが一般的でしたから。
なお、当時はコンタード(Contoured)キーボードと呼ばれることが多かったと思いますが、ここではAdvantageと呼ぶことにします。

その後Windows95が進化して、続いてWindows98が出ると、パソコンにUSBポートが備えられ、あらゆるものがUSB接続になりました。キーボードもUSB接続が当たり前になりました。

Advantageキーボードでは、内部にPS/2-USB変換LSIを追加し、心臓部であるマイコンから出力されたPS/2信号をUSB信号に変えるという方法で、USB接続に変更されました。換言すると、心臓部のマイコンは変更せずに、PS/2-USB変換LSIを追加し、PS/2信号をUSB信号に変えるという方法でUSB接続になりました。
言わば応急処置的なしくみでUSBに対応していたのですが、これにはワケがあります。

読者の多くはご存知だと思いますが、Advantageキーボードには、リマップ(キーの場所を入れ換えること)、マクロ、Macモードへの切り換え、キーパッドレイヤーへの切り換え、埋め込まれたテンキー、Dvorak配列への切り換えなど、多くの機能が備わっています。これらの機能は、心臓部であるマイコンで実現されています。

大手ではないキーボードメーカーの場合、ICメーカーが作ったキーボード専用ICを使ってUSBキーボードを作っていることが多いのですが、Advantageには普通のキーボードにはない上記機能があるため、キーボード専用ICは使えません。このため、同じマイコンを使い続けながら、USB信号を作り出す方を、ICメーカーが作った専用ICに頼ったのです。

マイコンやPS/2-USB変換LSIのスピードは、人間がキーを打つ速さとは比べものにならないほど速いので、信号変換を伴うしくみでも、まったく問題はありませんでした。
ところが、数年前、一部のWindows7パソコンとAdvantageキーボードの間で相性問題が生じてしまいました。この問題は、Advantageキーボードに追加されたPS/2-USB変換LSIで生じる相性問題だったので、Kinesis社は、別のPS/2-USB変換LSIを使うという方法でこの問題を解決しました。

しかしながら、別のPS/2-USB変換LSIをキーボードに内蔵することはできず、外付けになってしまったので、スマートな解決方法とは言えませんでした。この問題によって、Advantageキーボードはだいぶ評判を落としたと思いますし、Kinesis社は対応に苦慮しました。日本の正規代理店である我々(エジクン技研)も、変換LSIの交換作業に追われる日々が続きました。

そして、ついに登場したのがAdvantage2キーボードです。
Advantage2キーボードは、USB信号を出力する新型のマイコンを搭載しています。従って、相性問題は根本から解決しました。

そもそも、我々を苦しめた相性問題は、それまで正常に機能していたPS/2-USB変換LSIを考慮せずに、パソコン内のUSB処理部やWindowsが進化してしまったのが原因です。そのPS/2-USB変換LSIがマイナーな存在だったのでしょう。

このような妙な進化が生じない限り、相性問題は再発生しません。Advantage2キーボードが使っているマイコンは、かなり普及しているタイプで、USB機能の大部分はマイコンに備えられたハードが実現していますから、同様の相性問題が生じる可能性は格段に低いはずです。
皆様、Advantage2キーボードを安心して使い続けて下さい。

次回は、Advantage2キーボードの日本語配列モデルの開発について書きます。これにはエジクン技研が深く関わっています。
posted by Q at 11:36| Comment(0) | Kinesis

2011年02月21日

キーボードの奇妙な反応

Contouredキーボードの検査で奇妙な現象に出会った。原因はどうやらWindowsXPのバグのようだ。

ネットショップ担当者が、Contouredの出荷前に、いろいろな検査をしていたらキーボードの入力状態がおかしくなってしまったというので、別の技術者に確かめてもらった。
なお、リマップというのはキーの場所を入れ換えるContouredの機能で、例えばAキーとBキーを入れ換えたり、通常は親指で押すEnterキーをお好みで別の場所に移動したりできる。

ところで、Windowsでは右Shiftキーを8秒押すと、フィルターキーをオンにするか聞いてくる。通常は8秒も押し続けないと思うが、Contouredキーボードでは可能性がある。
Contouredには、Shiftといくつかのキーを押しながら実行するコマンドがある。右のShiftキーを押した状態で、このあとは何を押すんだっけ、とマニュアルを見てから画面に目を移すと、見慣れぬダイアログにフィルターキーをオンにするか聞かれることになるのである。
また、間違った組み合わせのキーを押した場合も同様の現象に出会うことがある。例えば、リマップ(Remapping)では、Progrm+F12 の組み合わせを使う。これを間違えて、Progrm+Shift+F12でやってしまうと、Shift信号だけがWindowsの方に送信されてしまうようだ。「リマップはProgrm+F12」と念じておけば問題は生じないのだが、メモリーリセットはProgrm+Shift+F10だったりするので、間違いやすい。

皆さん、コマンドを打つときはマニュアルを見ながら正確にやって下さい。弊社から販売したContouredキーボードには、リマップやマクロなどの日本語説明書が付属します。

さて、見慣れぬダイアログからフィルターキーをオンにするか聞かれても、キャンセルをクリックすれば全く問題ないはず、と普通は思う。私もそうだった。
しかし、キャンセルを押したあと、ウィンドウズのキーボード入力を受け付ける部分がおかしくなってしまう。Shiftキーを押さなくても大文字になる。また、半角/全角キーが単独では機能しなくなり、Altキーと一緒に押さなければならなくなる。
でもこれは簡単に直せる。左側のShiftキーを一度押すだけで、大文字入力は正常になり、半角/全角キーも単独で機能するようになる。

DELLのキーボードでも同じ現象が生じたし、別のPCにつないだ古いPS/2キーボード(Logitech製)でも同じだったので、WindowsXPのバグに違いない。なお、Windows7は問題なかった。
posted by Q at 13:34| Comment(0) | 製品修理

2010年06月06日

フットマウスの紹介

フットマウスは、足でマウス操作を行うための入力デバイスである。ポインタを画面上で上下左右に動かす信号と、左右のクリック信号を出すことができる。ポインタというのは、パソコン画面上で動く矢印のことであり、手の形になったり砂時計の形になったりする。

マウスから出すべき信号としては、少なくとも、ポインタを上下に動かす信号、左右に動かす信号、左クリック、右クリックの信号が必要である。足でこれだけ多くのものを操作するのは、なかなか大変である。

当社のフットマウスは、片足だけで操作でき、足の指は使わないものになっている。これは、開発当初から守ってきたポリシーである。
両足で操作する場合、体の安定を保つの難しくなってくる。車を運転するときのように体がイスにホールドされている状態にすればよいが、オフィスでそういうイスを用意するのは難しいと思う。また、自由に動かない足の指に操作を負担させるのは酷だと思うし、指を動かすためにスリッパや靴下を脱がなければならない、というのはスマートでない。
世界中を見渡せば、当社のもの以外にもいくつかの足用マウスが開発されている。両足で操作するものもあるし、足の指を使うものもある。

ここで、ポインティングデバイス(マウスなど、ポインタを介してパソコンを操作する入力デバイスの総称)の普遍的な(足用に限らず、ということ)特性について考える。
ポインティングデバイスに必要な特性としては、ポインタを精密に動かせること、すばやく動かせること、操作感覚の一致などがある。精密な動きは、図を微調整したりウィンドウを整列するときに要求される。すばやい動きが必要なのは当然だろう。操作感覚の一致というのは、例えばドラッグをするときに必要になる。

ドラッグというのは「引きずる」という意味である。デスクトップ上でアイコンをずるずる移動したり、ウィンドウの縁をつかんで大きさを変えたりするのは、まさに、引きずる、という操作であろう。
手で動かす普通のマウスの場合、ボタンを押しながらマウスを動かせばドラッグになる。これは、引きずる感覚に近いはずである。つまり、マウスを引きずるように動かせば、画面上で引きずるようなポインタ操作が実現される。このように感覚が一致すれば、快適な操作といえるだろう。

ノートパソコンに付いているパッド式のポインティングデバイスでドラッグを行うとき、一つの指でボタンを押しながら別の指でパッドをこする。この動作は、引きずるという感覚からは遠い。従って、快適な操作とは言えないと思う。パッド式により、精密かつすばやい動きがマウスと同程度に行えたとしても、快適さという視点ではマウスの方が優れていると思うのである。もちろん、薄いスペースに収容できるという大きなメリットはある。

精密な操作とすばやい操作は、相反する特性である。
例えばマウスの場合、マウスを大きく動かしてもポインタが少ししか動かなければ、精密な操作となる。マウスをラフに動かしても、ポインタを例えば1ドットだけ動かせるようになるからである。一方、マウスを少ししか動かさないのにポインタがたくさん動けば、すばやい操作となる。
従って、何の工夫もしない場合、精密な操作を重視すればすばやい操作が犠牲になり、逆もまたしかりである。マウスの場合、加速という手段により両立させている。

さて、足用のマウスもポインティングデバイスであるから、精密な操作、素早い操作、操作感覚の一致が必要となる。

当社のフットマウスでは、足を乗せるペダル(足置部)を前後左右に動かすとポインタも同じように前後左右に動くようになっている。ペダル可動範囲のうち、周辺部ではバネの反力が働くようになっている。言い換えると、中央付近ではペダルは自由に動くが、可動範囲の縁に近づくとバネによって押し戻される。
自由に動く範囲では、ポインタはマウスと同様に操作される。ペダルを動かした距離にほぼ比例した距離だけポインタが移動する、ということである。バネの反力を感じる範囲では、ジョイスティックと同様に操作される。こちらは、バネに与えた力にほぼ比例した速度でポインタが移動する、ということである。

かなり大雑把に言うと、中央部の自由に動く範囲で精密な操作を実現し、バネの反力を感じる範囲ですばやい操作を実現している。
自由に動く範囲では、マウスと同様の加速を与えている。また、バネの反力を感じる範囲では、空間的な加速と時間的な加速を与えている。このあたりは、言葉だけで理解して頂くのは難しい。フットマウスを購入あるいは試用して、実際に体験して確かめて頂くしかない。

当社のフットマウスでドラッグを実現する動作は、(1)ペダルを動かしてポインタをアイコンの上にもっていき、(2)つま先でペダルを踏み、(3)ペダルを前後左右に動かしてアイコンを目的の場所に移動させ、(4)ペダルを離す、というものになる。
この動作は、地面の上に置かれたものを足でずるずる引きずる動作と一致するため、画面上のポインタ操作と、足動作の感覚が一致することになる。従って、フットマウスによるドラッグは快適な操作といえるだろう。

前述のように、当社のもの以外にいくつかの足用ポインティングデバイスが開発されている。しかし、当社のフットマウスが、最も優れた構成であると自負している。
posted by Q at 23:43| Comment(0) | 足入力デバイス

2008年07月23日

コンタードキーボード修理

何日か前にコンタード(Contoured)キーボードを買われたPさんからメールが入った。Bキーが引っかかるそうで、ときどきBBB…となるとのこと。
多分キースイッチの不良で、今あるテスト用コンタードのキースイッチと交換すれば直るだろうと思った。
Kinesis社を訪問したとき、製品輸入の際に修理パーツも一緒に送ってくれると約束したのだが、送ってもらうのを忘れたため、修理パーツは現在手元にない。

テスト用コンタードのケースを分解し、プリント基板から出ているキースイッチの足からハンダ吸取機でハンダを取り除いた。
これでキースイッチが外せると思ったが、キースイッチはキーウェル(片方の手の人差指〜小指で押すキーの一組)のベースに接着剤で固定されている。この接着剤を取り除かないとキースイッチを外すことは出来ない。
キーウェルの端にあるキースイッチなら接着剤を取り除くことができるが、キーウェルの中央部に配置されたキースイッチ(SとかDとか)はどうするのだろうか?

KinesisのW社長にメールで聞いてみた。代理店でそこまでやるところはないとの回答。ネジを外してキーウェルを丸ごと交換する程度のことしかやらないそうだ。
技術力をほめられたが、一度ハンダ付けされたキースイッチを修理に使うのはすすめられないとも書いてある。確かに、一度ハンダ付けされ、ハンダ吸取機で取り外され、再びハンダ付けされると、熱が3回加わることになる。
あるサイトの情報によると、このキースイッチの寿命は1000万回となっている。マウスのクリックに使うスイッチの寿命は30万〜100万回であるから、かなりの高品質で、想像以上にデリケートなのかもしれない。

新品のキースイッチを急いで送ってくれることになり、それと交換することにした。キースイッチが届いたのでPさんのキーボードを分解した。
なんと前述の接着剤がはみ出ており、キーキャップ(文字が印刷されたパーツ)を強く押すと、接着剤に当たり、くっついてしまう。これが原因で戻りが悪くなり、引っかかっていたのだ。
はみ出した接着剤を取り除いたら、他のキーと同様の心地よいキータッチになった。

この何日かキースイッチと付き合ってみたが、確かに高品質に出来ているようだ。キータッチのフィーリングはほとんどキースイッチにかかっているのだから、当然と言えば当然だ。
故障やトラブルが生じたときキースイッチを疑う順位は、下位にした方がいいようだ。
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2007年06月06日

新しい形状のUSBメモリ

先日某社より、トランシーバの形のUSBメモリを作ってほしいという依頼が入った。形状が少し複雑なので、実物を送ってもらっておいた。
そして今日、台湾のX社を訪問した。

技術者のY氏とトランシーバを前にして、どのように製作するか検討した。実物と同じ形状に作れれば一番よいのだが、それでは金型代が膨大になる可能性がある。
最少注文数を抑えるためには、金型コストを低くしなければならない。コストを低くするため、金型は基本的に2つの部分だけで構成されている。この金型によれば、成型(形ができること)と同時に色付けもできてしまう。

主要な部分が2つだけの金型から、成型後のUSBメモリを無理なく取り出すためには、形状が限られてくる。金型に引っかかる形状ではダメなのである。
Y氏といろいろ議論し、元のイメージを壊さないようにしながら、トランシーバに付いているたくさんのスイッチの位置や形を変え、一部を省略して、なんとか成型可能な形状にもっていった。
また、長く飛び出たアンテナがポキッとなりそうなので、柔らかい材料を用いることにした。

余談だが、台湾や香港のビジネスパーソンは欧米風の名前をもっている。
外国人(日本人を含む)を相手にする人だけかもしれないが、私が付き合っている数社の数十人は皆、欧米風の名前である。技術者Y氏の名前はMikeだ。
彼らとやり取りするメールや会話はすべて英語なので都合がよいとも言えるが、日本人がローマ字の名前を使うのと大きく異なる。

英語が全くできない人でも欧米風の名前をもっている。
ある会社の製造ライン担当の人はIvyという名前だった。この人と会話することはない(共通の言語がない)のだが、製造工程などについて打合せるときに、この人のスケジュールを話題にすることはある。従って、名前を発音しやすく覚えやすいのは便利である。

何年か前、輸入したマウスに不具合が見つかったとき、数千個のマウスをさいたま市にある当社で修理することになった。このとき技術者と一緒に来日した組立専門の女性も、ちゃんと欧米風の名前だった。
ただし、この女性の名刺は急いで手作りしたようなものだったので、名前も急いで付けたのかもしれない。

台湾のあるマウス会社の総経理(社長のこと)によると、欧米風の名前は社会人になるときまでに決めるそうだ。中国語の本名に発音が似ているものを選んだり、好きな人物の名前を付けたりする。
一度付けた欧米風の名前を途中で変えるケースはあまりないが、この総経理の場合は一度変えたとのこと。
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